「あっ。」
初音と元樹が目が合う。
元樹の目線がそのまま初音の右手に移る。
ん?
初音も元樹の目線を追いかけて自分の右手を見つめる。
右手は…、博人に繋がれていた。
「いや、これは違う!」
慌てて、右手を引っ込めて隠す。
元樹は何事も無かったようにいつもの笑顔を見せた。
「初音ちゃん、また明日。」
そのまま初音の横を過ぎると、1組の教室に入って行った。
どうしよう。
手を握られている所見られた…。
手を握られていた訳ではないのに。
「何かありましたか?」
動揺する初音を不審に思い、博人が覗き込んでくる。
「な、何もありません!」
初音はそう言い残すと、慌ててその場から走り去ってしまった。

