「そういえば琴音さん。」
「はい。」
「あなたも大変ね。真之から聞きましたわよ。」
花子からの問いかけに不審な顔をする琴音。
「何をですか?」
「あなた、ショウ君の大ファンだそうね。」
「そうですけど…。」
「琴音さんも寂しいですわよね。ショウ君がいなくなると。」
「ええ、まぁ。」
「ま、せいぜい、最後のご挨拶をしておく事ですわね。目の前の元樹君、いや、ショウ君に。」
捨て台詞のようにサッと言い放った言葉を琴音は聞き逃さなかった。
「ショウ、君…。」
元樹は伏せたまま顔を上げようとしない。
「ねぇ、元樹君。元樹君はショウ君ではないよね?」
笑顔を見せて問いかけてみる。
「…。」
「ねぇ、違うって言ってよ。」
元樹の体を軽く揺すりながら何度も問いかけて確認する。
「違うって…、ねぇ。」
何度、体を揺すっても問いかけても何も答えようとはしない。
やがて、琴音の顔から笑みが消えた。
答えない事が答えなのだと悟った。

