「ねぇ、博人君。」
「なんだい?」
「今日ここに来たのはね、教えて欲しい事があるんだ。」
「俺に分かる事であるのなら。」
「どうして、美樹さんの彼氏になったの?」
「…。」
初音の問いかけに答えようとしない。
「私ね、今、悩んでいる事があってね。
実は私の好きな人が妹と同じ人かもしれないの。
私は、その人の事が好き、大好き。
でも、妹とその人の事で争ったり、仲が悪くなったりしたくないの。」
博人は黙って聞いている。
「私の妹は、お調子者でマイペースでお気楽者で、私とは全く正反対。
たまに腹の立つこともあるけど、私に持っていないものをたくさん持っているし、尊敬できる部分もたくさんある。
もし、妹が好きな人に対して譲れない思いがあるのなら、譲りたい気持ちもある、でも、私も諦めきれないかもしれない。」
「で、俺に何を。」
「博人君は本当は花子さんの事が好きなんでしょ?」
「…。」

