扉をノックする音が聞こえる。 初音は宿題をしていた手を止め、机に向かったまま返事をした。 「入って来ていいよ。」 ゆっくりと扉が開き、琴音が顔半分だけ覗かせる。 「姉さん、ちょっといい?」 いつもと違って少し声が暗い。 その声の暗さを初音も感じ取り、小さくどうぞ、と答えた。 モジモジしながら入ってくる。 初音も椅子から立ち上がり、振り返って琴音を見つめる。 「姉さん…。」 「うん。」 「姉さんは…。」 珍しく言いにくそうにしている。