「お、お願いだから、こちらに微笑まないで…。」 優しく微笑む笑顔に負けて、初音が胸を抑えてうずくまる。 「大丈夫?」 男子生徒がさらに覗き込む。 「大丈夫です。お願いだから笑顔を向けないで…。その笑顔に…、笑顔に、私の胸が張り裂けそうになりますから…。」 初音が男子生徒を手で制して目を逸らす。 「姉さん、恋心が芽生えたリアクションと言うより、吸血鬼が十字架見せられたリアクションになっているよ…。」 「大丈夫ならいいけど…。」 男子生徒は少し離れると、2人に向かって自己紹介をした。