三年生になり、夏休みが明けた頃から、彼女の早退や欠席が多くなっていた。
「弟の調子が悪くて……」
両親が忙しいから、彼女が病院へ連れて行ったり、看病をしているんだと思っていた。
だけど、本当にそんな理由だけなのかな。
私は、休みがちな彼女の元気のなさに、それだけじゃない気がしていたんだ。
そんなある日。
彼女の袖口からみチラリと見えた痣に、私は気がついた。
「ねぇ。その痣……」
言いかけた私の視線から腕を隠し、彼女はなんでもないと首を振る。
「けど……」
「ごめん。……本当になんでもないの……」
頑なな彼女の態度に、私は何も言えなくなった。
だって、彼女の瞳は泣いていた。
ゆらゆらと揺れていて、それ以上何かを言ってしまえば、零れ落ちてしまいそうな雫をためていたんだ。
私は、何かしてあげたいのに、何もできないことが物凄くもどかしくて、とても悔しかった。
握った拳を震えさせることしかできない自分が、本当に悔しかったんだ。



