修学旅行の場所が決まった。
行き先は、北海道だった。

「美味しいもの、たくさん食べられるといいね」

浮かれている私の言葉を聞いて、同じ班になった彼女が寂しげに笑ったことに気づけなかった。

放課後、班長になった私は、担任から職員室へ来るよう言われていた。
職員室へ行った私へ、担任が思いもよらないことを告げてきた。

「え……。どうしてですか?!」
「家の都合らしいから、仕方ないよな」

俺も何度か説得したんだが、と担任は寂しい笑顔を私に向けた。

彼女と一緒の旅行は、本当に楽しみだったんだ。
せっかく、同じ班になれたのに。
たくさんいい思い出を作って、いっぱい笑顔になってもらいたいって思っていたのに。

なんで……。



「お土産、買ってくるからね」
「うん。楽しんできてね」

彼女を残して、クラスメイトを乗せた飛行機は飛び立った。
一緒に行けなかった彼女が、せめて寂しい思いをしていないことを私は願うしかなかった。