「別に嘘つかれたことに起こったわけじゃない。ただ、遥の嘘に気付けなかった自分に腹が立った」
クシャっと翼さんが顔をゆがめる。
「きっと、遥のことだからサツキがしたって言ったら俺が傷つくだろうと思ったんだろ?だけど、そんなことより遥が傷付ける事は嫌だった」
「つ、ばさ、さんっ‥‥」
視界が揺らいでいく。
「泣くなよ。それ程、遥は俺にとって大切なんだ」
そんなこと言われて、泣くなっていう方が無理だよ。
「だから、些細なことでもいいから嘘つかないでほしい。どんな事でも受け止める」
「はいっ‥‥‥‥」
「約束」
そう言って翼さんがスッと小指を差し出す。