「そこの棚の下の段に」

翔は救急箱を出してくれて、消毒液とガーゼ、メディカルテープと包帯を出した

「手首見せて」

「痛いけど我慢な」


「んっ!」


「翔、慣れてるね」

「まぁな、友達がケンカっ早いヤツ多かったからな、救護係に回ってたんだよ」


「はい、でーきた」

「包帯の巻き方も上手」

「ありがと、翔」


すると翔は手を握ってきた

「ハナ、自分のことは大事にしないと歌もちゃんと歌えなくなる、だから自分を否定したりしないで」

「俺はなんでも受け止めるし、ハナの味方だから、ひとりぼっち感じなくても大丈夫」

「OK?」

「うん、ありがと…」

「よし、声が出なかったのは一緒に考えていこうな」

「うん、よろしくお願いします」

「まかせとけー」


「あ、翔?」

「ん?どした?」

「あのね、やっぱり退院してから夜、ひとりでいるのがこわくて…」

「うん」

「すごく苦しくなってしまうんだ」

「どうしたらいいのか悩んでた…」

「そうだったんだ、もっと早く言ってくれてよかったのに」

「もう少しすれば、ましになるかなって思ってたから」

「そっか、だったら俺ん家に住む?」

えっ…いまなんていった…?

翔といっしょに生活するの…?

「ハナ、大丈夫?」

「あ、ごめんごめん」

「俺のところで一緒に暮らさない?」

「えっでも…」

「大丈夫だよ、部屋も余ってるから自由にしててくれていいし」

「その方が俺も安心する」

「すぐハナの顔が見れるから」