左手首を傷付けていた

「なっんでっ…もうっやだっ…」


玄関のチャイムで目を覚ました

えっ?わたし寝ちゃったんだ…

「ハナ?いるか?」

ガチャッ

「あ、翔、お疲れさま…」

「ハナ、その手首どうした?」

そう問いかけられるとわたしはその場にしゃがみ込んでしまった

「ごめんなさい…傷付けちゃった…」

「よし、立てる?中に入ってゆっくり話そうか」

翔はわたしの肩を支えながら部屋の中にに連れてきてくれた


そして背中をさすりながら話を聞いてくれた



「ハナ、何があったの?」

「今日、河川敷でっ、歌の練習をしようと思ってっ…」

「うん」

「いざっ歌おうとしたらっ、声が出なくって…」

「うん」

「悔しくってっ!自分が許せなかったの!」

「そうか、だから傷付けちゃったの?」

「うんっ…」

「そうだったんだ」

「でも自分を傷付けるのはよくないよね、ハナ?」

「わかる?」

「うん…わかってる…」

「でも悔しかったんだよな」

「今度そういうことしないって俺と約束できる?」

「うん…約束する…」

「よし、今回は許す」


翔はギュッと抱きしめてくれた

「今度は絶対にしちゃダメだからな」

「うん…ごめんなさい…」

「傷、浅いから病院行かなくても大丈夫そうだな」

「救急箱ある?」