家に着き、今日からこの家で三人の生活が始まる。



だが、瑛樹の姿はとこにもない。

英美は慣れてない台所に立ち三人分のご飯の支度を始めた。

「弘樹さん。
包丁と俎板はどこですか？」

英美の問いかけに弘樹は台所にやってきて置いてある場所を教えた。



トントントントン…



リズミカルな包丁の音が鳴る中、弘樹は英美が持ってきた荷物を、黙々と片付けていく。



ご飯の支度が出来、寝室に弘樹を呼びに行く。

「ご飯が出来ました。」

手を止めて弘樹は居間へ移動する。

卓袱台に色とりどりのおかずが並べられていた。

弘樹は箸を持ち静かに瞳を閉じた。

弘樹が箸を進める中、英美は未だ箸をつけない。

「瑛樹くんはどうしますか？」