眉を書き
アイシャドーを落とし
アイラインを引き、
紅を塗る。

落ち着いた色で仕上げたため、いつもと違う雰囲気の英美。

洋服ではなく、着物に袖を通し弘樹を待つ。



寒いにも関わらず玄関の外で弘樹を待つ英美。

手を擦りながら白い息を吹き掛け暖める。



正午よりも前に弘樹は現われた。

車を駐車場に停め、車から下りる弘樹。

初めて見る姿。

弘樹はスーツに身を包んでいる。

初めて見る弘樹の姿に英美の眼は釘づけ。

そして、英美の着物姿に弘樹は直視できない。

互いに緊張した面持ちで、弘樹を家の中へ案内する。