《実話》Last Love〜命を懸けた愛〜

山下課長の問い掛けに、弘樹は柵に掴まり真下を見下ろした。

行き交う人が米粒のように小さく見える。



「…元気ですよ…」

風に負けそうなぐらい細い声で弘樹は答えた。

山下課長は立ち上がり、弘樹の隣に立った。

「英美ちゃんはこの大空の中で笑ってるんかな?」

空を見上げ目を細めて呟いた。

弘樹は空を見上げず下ばかり見ていた。

「なあ、森山…

今は辛いかもしれんけど、英美ちゃんはこんなことを望んでたんじゃないと思うで。」

優しい言葉で弘樹に語り掛けた。