「主人は仕事に行きました。
話し合って、同じ気持ちになったので、もうここには来ないです。」

英美は力強く答えた。

「では…

出産を?」

恐る恐る問い掛ける高野先生に英美は大きく頷いた。

「はい。」

「私の話は理解していただけたんですよね?」

「もちろんです。

それでもこの子を生むことに決めました。」

英美は高野先生の目を見てはっきりと答えた。

「…そうですか…」

高野先生はボソっと呟き、視線を英美からカルテへと移した。