「やっとの思いで、彼とは別れられました。

だけど、今でも思い出す…

頭の中で、あの時の出来事を思い出して…」

そこまで言って英美の言葉は止まった。

弘樹には英美が言いたかったことが伝わり、口を開いた。

「もう大丈夫。

誰もあなたを傷つけたりはしない。

それに、俺にも離婚の経験がある。」

弘樹の言葉を聞いた英美は、弘樹の顔を見つめた。

そこには、哀しそうな弘樹の顔があった。

遠く、遥か彼方に視線をむける弘樹。