英美は取り残され、弘樹の背中をただ、見つめているだけだった。

「出るで。」

弘樹は一瞬、英美に視線を向け言葉を発した。

英美は弘樹の言葉に慌てて支度をし、店を後にした。

弘樹は乗ってきた車にそそくさと乗り込み英美を待っていた。

店を出た英美は辺りをキョロキョロと弘樹の姿を捜す。

「おい。こっちや。」

窓を開け、右手を高く上げ英美を呼んだ。

英美は弘樹の姿に気付き小走りで車へ向かう。

「お隣いいんですか?」

英美は気を遣い弘樹に問う。