「きょーくん?」
今度は男の声。

「何?」
小柄で背の小さい男。というより男の子。
名前は中西 直。小学校からの友達だ。

「今日はもう釣れたのかな?」

「ん?まぁね。さっき二人」

「どの子?どの子?」

「そこの背の小さい子と髪の長い子」
その二人を指さす。

「あー、その二人?」

「そうだけど?」

「奥に座ってる子かわいくない?」


二人が邪魔して見えないので少し頭を後ろに下げる。

「確かに」

「つーか、そろそろ入学式始まるよ。体育館行かない?」

周りを見ればクラスにはおれと直。そしてその三人。とチラホラいるだけだった。

「そだな」

横に掛けていた体育館シューズを手に持って教室を後にした。