放課後。
着替えて、体育館に向かう。もう目の前ではバッシュのこすれる音が気持ちよく響いていた。


ダッシュや、ストレッチをしていると昼休みに会った顧問が入って来た。

キャプテンが挨拶をする。
それに続いて全員が挨拶をした。

「今日でちょうど一年生も五人。二年生とミニゲームをしてみろ。実力を測るにはゲームが一番だ。今日は見学者もいるからな」

その言葉で振り向いた。
そこには四人の人影があった。よく知っている影。

直と陽塚由紀に高野さんと八木さんだった。

直が呼んできたのかどうかはわからないが、心は凄い燃えた。


準備が出来た所でキャプテンがジャンプボールを上げた。
おれはそれを奪い取って、後ろの仲間にパスをする。

バッシュの擦れる音とパスを呼ぶ声が響き渡る。
そんな中、おれは陽塚由紀を見ていた。
どう思っているのだろうか?何を考えているのだろうか?

「魅月」

名前を呼ばれたと同時にボールが胸元に吸い付いた。
「打てよ」

その一言でボールをほった。別にキレイな打ち方なんて知らない。なんせ初心者。
ルールもほとんど知らない。
だけど、おれの放物線はパスッと音を立てた。

審判は親指、人差し指、中指を高々上げる。

「ナイシュ」

次々に体をタッチされる。気分は悪くない。


終わってみれば、勝っていた。
だけど結果なんてどうでもよくて、アイツはどんな目で俺を見ているのだろうか?




楽しかった。頑張れる気がした。
だけど結論から言うと、部活は辞めた。