「あたしのお母さんの話」 「…」 「あたしのお母さんが死んだのが、あたしが10歳の時でした。 お母さんは、いつでも優しく狐の話をしてくれました」 その言葉に、どくんっと胸がなる。 「『狐さんはママを助けてくれた優しい人』と聞かされていました。 その時に手紙も渡されて、すっかり『狐さん』のことを信じていました。 そして、琥珀さんを見たとき、びっくりしたんです。 お母さんが言っていた『狐さん』にそっくりで」 ドク、ドクと心臓が動く。 のと同時に虹春はどんどん消えていく。