「矢那…」 「この者は、桜空が都に来る前からずっと来ていてな。よほど心配だったのだろう」 「そう、ですか」 今すぐ矢那に会いたい。 どうすれば、会えるのかはわからないのに。 「何もしなくても」 「え?」 琥珀さんの方を見ると、琥珀さんはうすく笑みを浮かべていた。 「何もしなくてもいずれ時が来れば、この都の門が開く。だから」 琥珀さんはまた、かかか、とわらって。