太陽のあいつ《完結》

プールから出ると
末永が声をかけた。



「池上、
さっき良い泳ぎしてたな!!
今のお前には
そういう迫力がないんだ。
体で覚えておけ!!」



俺はただ黙ったまま
末永の声に手で返事をすると、
タオルで頭を拭きながらベンチに腰を下ろした。


空を見上げ、
タオルで顔面を覆う。



「はぁ…」



深い息がタオルを通して天に向けられた。


気持ちのモヤモヤは抜けていない。


どんなに自分を言い聞かせても、
アツシのことを目で追ってしまう。



アツシ…
俺、マジでお前のこと…