「あと、生きられても余命1年でしょう。」
お母さんが、
「いっいやぁ…み、美空はまだっ16歳ですよ?どうして、どうしてみっ美空が…」
泣きながら言った。
―どうして、どうして
私なの?
嫌だ、まだ死にたくないよぉ
「治療は、なさいますか?」
私は、
「それで直るんですか?」
と聞いた。
「治る確率は、7割ぐらいです。ですが美空さんの場合、脳に転移しているので…」
先生は、静かに答えた。
「わかりました。今は、残りの人生を悔いのないように生きます」
泣き崩れるお母さんの手を握って、こぼれ落ちそうな涙を堪えながら、診察室をあとにした。
「…ただいま」
家に着き、お母さんは、静かにリビングに入った。
私は、自分の部屋に戻った。
その瞬間、何かの糸が切れたように、頬を一滴のしずくがつたった。
「うっ…く、っ…」
―嫌だ、嫌だよぉ
生きたいよ
なんで?
どうして?
神様ぁ
私は、一晩中泣いた…