サックスを持ってステージへあがる。



あたしだけにスポットライトがあたる。






サックスを吹くのは好きだ。

いや、楽器を演奏するのは好きだ。


色んなこと、忘れられる。



”久住璃子”っていう存在も何もかも忘れることができる。


けど、吹き終わったときに訪れる…


”罪悪感”と”絶望感”。



あぁ、何をしても変われない、忘れられない。

あたしはあたしであるしかない。




きっとわたしは、








誰よりも弱くて悲しい人間だ_____。



だから…あたしはこう思う。




せめて楽器を演奏している時だけは


久住璃子しゃなく偽りのリコでいたい、と。