外ではセミがうるさく鳴いているのだろう。

「あ、また負けた…。」
「やった!私の勝ち!!約束通りリバーゲンダッツね。」

負けたと嘆いているのは高校1年生の中内 桜(なかうち さくら)と、中学からの親友斎藤 杏(さいとう あん)と、テレビゲームの真っ最中なのだ。

(私パズルゲーム苦手なのに…。戦闘ものだったら勝てる自信あるな)
「そーいえば、これ知ってる?」

杏が見せたのは携帯アプリだった。

「これ?なに?」
「なに、まさか知らないの!?嘘でしょ!?」
「う、うん。」

そのアプリは今世界で1番のダウンロード数がダントツに多く、このアプリはアプリ内の巨大な世界「KAGUYA 」にそっくりそのまま、自分自身が転送されるのだ。

「おもしろいの?それ。」
「いやいや、おもしろいの話じゃないくらいおもしろいの。やばいよ!やろうよ!ね!」
「えぇぇ…。どうせ杏が気に入るくらいなんてパズルでしょ?」
「違うの。あんたの好きな戦闘ものだよ。」
「なぬ!?詳しく教えて!」