マー君2(原作)

「逃げられ、ないか」

一樹は足を止めた。

狭い道の真ん中で立ち止まり、目を閉じる。

「逃げられない・・・・・・」

「立ち向かうしかない」

自分に言い聞かせように独り言を呟く。

そうしていると、少しだけ気が落ち着いた。

耳を澄ますと、今まで聞こえなかった無数の音が耳に入ってきた。

子供の泣き声。

風によりなびく木々の音。
はるか上空を飛ぶ飛行機の高音。

主婦達の立ち話。

様々な音が聞こえてきた。

それらの音を聞いていると、自分がまだ生きているのだと実感できた。

世界は何もなく、動き続けているのだと−−。

ふとズボンのポケットの中が振動する。

目を開け、携帯を取り出し素早くカバーを開く。

『新着メール一件』

一樹は相手を予想しながら、メールを開いた。

予想通り、送信者は黒の仮面からだった。

メールは以下の内容だった。



何故、誰にも頼らない?

友達に助けを求めないの?

人を簡単に信じるなと言ったけど、誰も信じるなっては言ってない。

一人でこの悪夢は乗り越えられない。



「乗り越えられないか、確かにな」

一樹は細く微笑んだ。