マー君2(原作)

「何が?」

一樹がそう言った瞬間、誠が動いた。

素早く一樹の襟元を掴み凄む。

「お前ぇ、舐めてんのか? あぁ? 美代ちゃん泣いてたぞ。ずっとずっと」

「・・・・・・」

一樹は視線を逸らすしかなかった。

「美代ちゃんがオメーのこと好きだって、わかってんだろうがっ!

わかってて、あんなこと言いやがって。

何が−−」

次の言葉に、一樹は耳を塞ぎたくなった。

だが、その言葉は否応なしに一樹の胸に突き刺さった。

「何が、偽善者だっ!」

誠が拳を振り上げた。

また殴られるのか、そう思ったがその手は途中で下ろされた。

「なんで、止める?」

一樹は今日初めて誠の顔を見返した。

誠は分が悪そうに一樹を離すと、顔を見られたくないのか背を向けた。

「そりゃあ、友達だからに決まってんだろうが。殴りたくても−−。

でも、あの言葉だけは許せねぇ。友達に1番言っちゃあいけねーことだぞ」

「・・・・・・わかってる」

一樹は大きく息を吐いた。

「だけど、今は俺に構わないでくれ。俺は−−」

「だから!」

誠が大声で叫ぶ。

あまりの声の高さに反動的に肩が揺れる。