<29>
「人を信じろ。
それがこの惨劇を止める方法、か」
一樹は雲が少ない青空を見上げながら、独り言を呟いていた。
俺らしくもない。
独り言など呟くなんて。
学校の屋上のフェンス近くで横になって、じっと空を見上げる。
透き通るような雲が風に流されゆっくりだが、とても早く移動している。
雲原型を留めず、あらゆる形に変わり流されていく。
心地よい夏風が、日差しと共に乱れた心を落ち着かせていく。
一樹は右腕を額に宛て、眩しい日差しを遮る。
そして、またぽつりと独り言を呟いてみる。
「俺は、なんであんなことを−−」
−−この、偽善者がっ!
美代に言った言葉が、胸に深々と突き刺さる。
まるで、吸血鬼を仕留める杭のごとく。
耐えられないぐらいに。
痛い。
苦しい。
だけど、美代はもっと苦しいはずだ。
俺よりずっと。
「クソッ、なんでこんなことにっ」
歯を食いしばる。
手を握り絞める。
それでも、苦しい。
こんな弱い自分が。
俺がもっと強かったら、こんなことにはならなかった。
もっと力があれば、母さんだって救えた。
いや−−。
「人を信じろ。
それがこの惨劇を止める方法、か」
一樹は雲が少ない青空を見上げながら、独り言を呟いていた。
俺らしくもない。
独り言など呟くなんて。
学校の屋上のフェンス近くで横になって、じっと空を見上げる。
透き通るような雲が風に流されゆっくりだが、とても早く移動している。
雲原型を留めず、あらゆる形に変わり流されていく。
心地よい夏風が、日差しと共に乱れた心を落ち着かせていく。
一樹は右腕を額に宛て、眩しい日差しを遮る。
そして、またぽつりと独り言を呟いてみる。
「俺は、なんであんなことを−−」
−−この、偽善者がっ!
美代に言った言葉が、胸に深々と突き刺さる。
まるで、吸血鬼を仕留める杭のごとく。
耐えられないぐらいに。
痛い。
苦しい。
だけど、美代はもっと苦しいはずだ。
俺よりずっと。
「クソッ、なんでこんなことにっ」
歯を食いしばる。
手を握り絞める。
それでも、苦しい。
こんな弱い自分が。
俺がもっと強かったら、こんなことにはならなかった。
もっと力があれば、母さんだって救えた。
いや−−。


