マー君2(原作)

「なら、出たら? 早く電話した方がいいわよ、一樹」

機械口調で述べる。

一樹は致し方なく、美代に電話をかけようとした。

すると、母親がとんでもないことを言ってきた。

そのままかけるのよ、と。

それはつまり−−。

さっき打ち込んだ番号にかけろと言うことだ。

番号を変えずにそのまま。

一樹は目の前の母親から目が離せなかった。

いつもの母さんとは違う。

別人だ。

もし警察に連絡したら、どうなる?

注意を受けるだけならいいが、黒の仮面の言う通り警察も既に感染していたら?

今になって黒の仮面の警告が、信じられるようになった。

だが−−。

「さあ、早くかけないと美代ちゃん、学校に着いちゃうわよ」

母親のその言葉に、一樹は唾を飲み込んだ。

それから、通話ボタンを押し、ゆっくりと耳に近づける。

その様子を母親がじっと見つめている。

コール音が何回か鳴り、誰かが出る。

その相手は−−。

美代だった。

さっき振り向く前に、とっさに美代の番号を呼び出していたのだ。

一樹は信じてみた。

友達を。

美代を。

一樹は用件を述べると、そそくさに電話を切った。

その一部始終を見ていた母親は、納得したようで、また笑顔を作った。

偽の笑顔を。

そして、母親から弁当受け取り、一樹はその場を後にした。