マー君2(原作)

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人を信じるには、人を理解し、自分も理解してもらうしかない−−。

黒の仮面が残した言葉。

この惨劇を止めたいなら、信じるしかない。

信じるしか。

だが。

俺に信じられるのか?

人を。

見えない繋がりを。

一樹は無表情でテーブルに向かっていた。

テーブルに列ぶ食パン、牛乳が入ったコップを早々と口に運んでいく。

そこへ、母親がフライパンを持って現れる。

黒いそれは高温に熱さられ、中で目玉焼きが心地よい香ばしい音を立てている。

普段なら食欲がそそられる所だが、今日は違う。

目の前にいる母さんは偽物だ。

こいつが近くにいるだけで、具合が悪くなる。

今すぐにでも逃げ出したい。

見えない所まで−−。

だが、逃げれない。

黒の仮面の言うことが正しければ、それは−−。

死を意味する。

死を。

気付けば手が止まっていた。

コップを持つ手が小刻みに震えている。

「一樹、どうしたの? 具合が悪いの?」

母親が一樹の様子を見てか、心配そうに声をかけてきた。

一樹は今まで必死に俯いてきたが、その声にふと顔を上げてしまった。

白い仮面をつけた母親を見てしまった。