マー君2(原作)

一樹は乱れる呼吸を抑えながら、画面を凝視した。

だが−−。

白い仮面は消えない。

噂ではあの白い仮面は視覚に光の錯覚−−幻覚であり、姿は変わっていないはず。

母さんが自分の網膜から特殊な光を発し、それが俺の視覚を惑わしているはず。

なのに−−。

信じたくない。

母さんが感染したなんて。

「母さん・・・・・・」

画面の中の母親はドアから顔を離し、階段へ向かう。

「なんで、マー君に」

薄暗い階段を降り切ると、一樹の部屋を一瞥してからリビングに向かう。

「俺に相談してくれたら−−こんな」

リビングから薄暗い廊下に明かりが漏れている。

母親は何かを気にするかのように用心しながら、リビングに入る。

その途端、一樹は凍りついた。

−−!

声が出なかった。

リビングに入った母親は、目の前に倒れている中年の男に視線を落としていた。

一樹は信じられなかった。

目の前の光景に。

「お、やじ?」

母親は仰向けに倒れている父親を見下ろしていた。

胸に深々と刺さる果物ナイフを−−。

一樹は画面から目が離せなかった。

白い仮面を被る母親。

倒れている父親。

しかし、現実は確かにそこにあった。

消えることなく。