マー君2(原作)

「なんでも、ないわ。ただ−−」

「ただ何?」

一樹は必死に平静を保ちながら聞いた。

この目の前にいる母さんは、感染者の可能性がある。

確かにさっき母さんは白い仮面をつけていた。

白い仮面−−。

マー君と同じ−−。

一樹は母親が口を開くのを静かに待った。

母親は一樹が何も喋らないと悟ってか、にこやかに笑い首を左右に振った。

「なんでも、ないわ。一樹もう寝なさい。明日遅刻するわよ」

「あ、ああ。そうするよ」

一樹は違和感を感じた。

母さんは今までこんなことを言いに来たことがない。

不自然、すぎる。

やはり違う。

いつもの母さんじゃあない。

何かを隠している。が。

「じゃあ、おやすみ。一樹。ゆっくり寝るのよ」

母親は静かに部屋を出ていく。

その間一樹は何も言わなかった。

ドアが閉まると、無理に平静を保ち、パソコンに向き直る。

それからゆっくりと大きく息を吐き、静かに目を開けた。

その目の前には一樹の部屋の外が映しだされていた。

白い仮面をつけた母親と一緒に。

やつは今ドアに耳を押し当て、中の様子を伺っている。

俺の様子を−−。