なのに、俺は−−。

信じなかった。

すぐ近くにいたのに。

友達を、仲間の手を掴めなかった。

遅すぎたんだ。

何もかも。

始めっから話していれば−−。

顔以外土に覆い隠される。

母さん−−いや、マー君信者がこっちを見下ろしている。

白い仮面−−偽りの顔が。

親父も俺と同じように埋められたのだろうか。

いや、俺の場合もっと残酷だ。

殺されてから埋められるのではない。

これは−−。

生き埋めだ。

一樹はぴくりとも動かない体の中、母親を見た。

まだ頭がいたく、ぼんやりする。

目が霞む。

眠い。

目が−−。

そんな一樹を見てか、母親が微かに笑う。

「君の選択は愚かだ。君にはこのまま事実を隠し通し生活することもできた。けど、君は選ばなかった。

偽りの仮面をつけることを。

それに−−君は気付いてない。全てが狂い出していることに。

気付かないふりをしている君にはね」

気付かないふり、か。

確かにそうかもしれない。

一樹は顔に土を浴びながら、後悔した。

自分の愚かさに。