マー君2(原作)

駄目だ!

話し続けるんだ。

耐えろ、耐えろ!

恐怖に飲み込まれるなっ!

時間を稼がないと!

時間を−−。

「な、なんで黙ってんだよ、何とか言えよ。そこにいるんだろ? おい−−」

最後まで言う前に視界が閉ざされた。

突然闇に包まれた。

いや、頭に袋を被せられたのだ。

一樹は突然訪れた闇に、一気に平常心を失い、叫び散らした。

「ふざけんなよ! なんだよこれっ。俺はまだ−−」

死にたくない。

そう死ぬ訳にはいかない。

美代の所に行かないといけないのに、こんな所で。

こんな、所で。

俺は−−。

後頭部に鈍い痛みが走る。

意識が遠ざかっていく。

わかっているのに、何もできない。

瞼が重い。

俺は−−。

死ぬのか?

闇に吸い込まれる前に、母親の声が聞こえた。

「楽にしてあげる」

その言葉を最後に一樹は意識を失った。