マー君2(原作)

マー君については黒の仮面から聞いている。

やはり重要な部分の事実は、政府がすぐ握り潰したようだが。

全ての人間の脳に住む心虫という負の精神が生み出す虫は、マー君というネットウィルスによりその卵が孵化するとされている。

まあ、個人差はあるにせよ、マー君怪奇事件後、黒の仮面はこの現象−−マー君ウィルス感染により人間がコンピュータ化すると考えている。

心虫の孵化により人間とネットの回線接続が可能になる。

普通ネット回線はケーブルを解して接続される。

が、無線LANというシステムを使えばこのケーブルは不要になる。

彼らマー君信者は無線LANという電波を拾うことでネット回線を接続している。

つまり−−。

「お前は歩くコンピュータってわけか」

一樹は冷酷な表情でこっちを見返す母親を睨んだ。

彼女はしばらく黙ってこっちを見返していたが、ふと何を思ったか肩を震わせた。

「フ・・・・・・フフフッ、全てお見通しって訳ね。誰が教えたんだか。でも−−」

母親は片手を顔に翳した。

そして次の瞬間−−白い仮面が顔を覆い隠す。