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目が覚めると、目の前に母親が立っていた。
一樹は状況を把握しようと、体を動かそうとした。
が。
ガチャッ。
手足が固定されている。
見ると手足に手錠が頑丈にかけられている。
「動け、ない」
一樹は椅子に座らせられていた。
両手は後ろに回され、手錠をかけられている。
「目が覚めたかしら、一樹。いえ−−」
エプロン姿の母親がにやりと笑う。
「裏切り者かしら、フフフッ」
母親はキッチン側にあるテーブルに腰掛け、腕を組んでいる。
いつもの母さんとは違う。
まるで別人だ。
一樹は母親を睨みつけた。
明るいリビングに鮮明に映る母親は、おかしそうに笑う。
「一樹、お母さんが憎いの? せっかくお父さん−−」
急に顔を強張らせ、一樹を見下ろす。
「殺してあげたのに。憎かったんでしょ、あいつが。殺したい、ぐらいに」
「・・・・・・いい加減、やめろよ。母さん面するのは?
もう母さんの自我はないんだろ? 心虫に操られてんだろ?
正確にはマー君か」
母親は苦虫を噛んだような顔をしたが、すぐに平静を保った。
目が覚めると、目の前に母親が立っていた。
一樹は状況を把握しようと、体を動かそうとした。
が。
ガチャッ。
手足が固定されている。
見ると手足に手錠が頑丈にかけられている。
「動け、ない」
一樹は椅子に座らせられていた。
両手は後ろに回され、手錠をかけられている。
「目が覚めたかしら、一樹。いえ−−」
エプロン姿の母親がにやりと笑う。
「裏切り者かしら、フフフッ」
母親はキッチン側にあるテーブルに腰掛け、腕を組んでいる。
いつもの母さんとは違う。
まるで別人だ。
一樹は母親を睨みつけた。
明るいリビングに鮮明に映る母親は、おかしそうに笑う。
「一樹、お母さんが憎いの? せっかくお父さん−−」
急に顔を強張らせ、一樹を見下ろす。
「殺してあげたのに。憎かったんでしょ、あいつが。殺したい、ぐらいに」
「・・・・・・いい加減、やめろよ。母さん面するのは?
もう母さんの自我はないんだろ? 心虫に操られてんだろ?
正確にはマー君か」
母親は苦虫を噛んだような顔をしたが、すぐに平静を保った。


