マー君2(原作)

その僅かなロスタイムが、一樹に味方した。

一樹は狭い道をこっちに向かって突進してくるパトカーをものとせず、足に力を込めた。

そして次の瞬間、パトカーのボンネットの上に飛び、加速される前に体をいかしてパトカーを飛び越えた。

「いっつっ、ああ!」

さすがに着地はうまくいかず、全身から転がり落ちた。

体中を激しい痛みが襲う。
「くっそぉ・・・・・・なんで俺がこんな」

強く打った肩の痛みを堪えながら、素早く立ち上がる。

「まだ、まだっ! 終わるかよ」

ふらふらしつつも走り出す。

その間に携帯を耳にかざす。

まだ通話は繋がっているようだ。

徐々にスピードを上げながら、パトカーとの距離を離す。

「み、よ! 美代聞こえるか?」

「一樹どうしたの? 何か凄い音が聞こえたけど」

「なんでもない! それより、何があったんだ? 美代どこか怪我したのか?」

興奮しているせいか、つい声が荒れる。

それに息も荒くなってきた。

何とかしないと。

そう思っているのに、何も考えられない。

ただ逃げることしか−−。