EXCAS

 しかし、すべてはここ切り抜けてからだ。
 通信があり、救援に行くと返答があった。部隊員とは一緒にはいない、同じ格納庫にいた他の人間と出撃したのだが、既に撃墜されてしまった。
 コクピットを撃ち貫かれ、炎上、落下していった。
 その様が一秒後の自分を表しいそうで、背筋が寒くなった。
 照準を合わせるグリップが震え、姿勢制御バーニアを吹かし全力で回避に集中。敵五機すべてがEXCAS、一撃一撃が致命的な射撃を繰り出す。紙一重ではなく大袈裟に、出力を惜しめば以前まで素人だった亮太では回避できない。
 盾は既に大破、一緒にあった左腕も消し飛んだ。
 改めて認識させられる、魔術兵装の破壊力。
 他の軍が主力として使用するのは当然。払ったコスト以上の働き。これほど敵として相対したくない物もない。
「畜生! こんなに、やってられないっ」
 愚痴を溢そうが、現実は変わらない。
 苦し紛れの反撃、それが仇となる。
 カキン、とひどく無情を感じさせる音。理解と同時に、悲痛な声。
「弾切れ!?」
 右腕が消し飛ばされた。
 弾切れでも出力は残って、その爆発は大きかった。
 これで亮太が乗る機体の武装は実剣と自動追小銃のみ。
 両腕がない状態で、剣など持てない。牽制にしか使わない小銃で、敵機の装甲を貫けもしない。