EXCAS

 見たくない、
 そう思っても瞼を開け、
 焦げた■■が転がっていた。

 嘔吐物が込み上げて来る。
 眩暈がひどい。景色がヒドイ。
 世界ガヒドイ、此処ハ酷イ、此処ハキタナイ。ココガ、ジゴク。
 生者はなく、死体もなく。荒れ果て焼きついた大地に転がる物体。
 充満する臭気はこの世の物とは思えぬ黄泉。湧き上がる黒い影は皆醜鬼。鼓動を掻き鳴らす者がどうしようもなく嫉ましく襲い来る。
 爛れた肉が腕を掴み、黄ばんだ八重歯が四肢に喰らい突き、充血した眼は喘ぐ身体を蹂躙し、肉を突き破った骨は舐め尽され、食み出た臓器は末端から租借される。



 そんな幻想が、脳裏に焼きついた。