EXCAS

 一般人は退避しろと指示を受け、流れる人混みに巻き込まれ艦を後にする。
「……っくそ」
 リンとレナとははぐれてしまい、周囲を見渡してもいない。
 どこか出会えるだろう、という楽観的な考えは思いつかなかった。
 どうにも嫌な予感がして、列から反れて道から離れた。
 遠めに列を観察する、だが後にも先にも彼女達らしき影も形もない。
「(亮太と話していた事が原因だが、くそっ、なんでもっと早く会わなかった)」
 動悸が速くなる。
 嫌な予感は、確信に変わっていく。
 思わず、先頭に向かって走り出した。

 その瞬間、閃光と轟音が目を焼いた。

 その直前に見えた黒い影が、敵の襲来だと告げ――
 ひどい、ニオイがする。
 何か、たんぱく質が焼けるニオイ。