EXCAS

「……、なん、だ?」
 何か、音が聞こえた。
 ひどく不快な音だ、そのうえ不安にさせる音だ。
「この先で……何があるんだ」
 問いに答えず、白い機体は黙って高度を上げた。
 柵を越え、天井まで貫いている柱が見え、所々青白い光が。
 光には黒い影がいくつもある。よく見れば、黒い影が光の発生源。聞こえてきた音も、光から溢れてくる奇怪音。破滅の序曲を奏でる、魔曲の前奏。
『……あれらの目的は、このステーションの動力破壊。捕虜を取るつもりはなく、目的を達したあとにここの住人を皆殺しにするつもりです』
 何を言っているのかわからない。
 どこか異人の、異国の言葉で語っている。
『地上部隊もここを探り出し、増援を送り込むでしょう。脱出ポットを兼ねたシェルターまで、一時間で着く。それまでは時間を稼ぐので、御二方は』
「それを聞いて、俺にどうしろというんだ」
 この言葉が全国全人類共通である事を祈って、
「そんな話を聞いた俺が、一体どうしろというんだ」
 久し振りに、視界が真っ赤になるほどの■■を経験した。