ＥＸＣＡＳ

「っ、一体、なんだ……」
　もやもやする。
　胸焼けとは違う、曇った深く暗い色。
　解決したくとも、発生理由がわからない以上、どうしようもないのが現状。
　否、そんな事を考えている時じゃない。亮太たちはどうなった。みんなと逃げたらしいが、何人かは掴まらないでいてくれると祈ろう。
　今度こそ、暗い気持ちが内部を支配した。
　戦争という理不尽の塊で、平和に生きてきた自分たちがこんな目に遭う。そんな事は争いが好きな奴らがすればいい。
　ただでさえ死に易い人間を、無闇に死なすな。
『着きました』
　降ろされた場所は馴染みのない風景だった。
　こんな暗い場所があったのか疑うほどだったが、そこに書いてあるプレートを見て納得した。
「動力部？」
　ここを含めすべてのステーションは島形をしている。
　下部は広い御椀型、表面に建造物があり人間が暮らしている。その下部が人間の暮らすために必要な環境を整える生命線。故に動力部も柱の中にある。
　ここはつまり地下。しかしこんなところに何の用が。