EXCAS

 魔術兵装ではない。何の神秘もない拳銃を、ショウは取り出していた。
 最新式ではない、むしろ旧型。配属初日に、ゼムからもらった年代物。
 零七隊の全員は、皆これを愛用していた。

「答えよ。それがお前の真の心。
『何故、お前はレナを恨むのか』」

 何故と。いまさらそんな事を聞くというのか、知っていように!
 それが起こした災害、唯一生き残ったはこの私ただ一人!
 娘を失い、血に塗れ、灰と黒煙に覆われた大地が新たな年の幕開けとなった。
 それがどうして、恨まずにはいられない――

 意識のバルザックは知らず口を紡いでいた。己が口にした何故のナ行、その動きを、口は象っていなかった。
 マガジンを装填し、安全装置は解除。
 スライド、チャンパーに弾丸が送り込まれた。
 遥かの昔に有名だった、軍でも採用されたベレッタ。初めて持った実弾の拳銃は、様々な意味で重い。
 それでも、震える事なく照準を合わせた。
 その、老人の骸の額に。

 待て、待て待て待て待て。
 何を、何を言おうというのだ貴様は!
 私の意思に反するな、これは姦計だ。我を陥れ優位に立とうとする小癪な計略だ!
 決して呑まれるではないと、そう言っている!
 この『扉』を、開けるなと言っている!!!

 鉄格子で厳重だった扉は、いまや空き巣を招き入れる薄汚れた木扉。
 蝋でも塗りたいほどに軋みながら、その扉は厳かに、開いた。