EXCAS

 それは言葉による支配。
 言葉によって『本当』の言葉を開かせる鍵なる魔術。
 心を暴く罪深き魔術、禁忌の目で見られ畏怖される忌まわしき術式。
 それを、ここに幕を引けるのならば、と彼は喜んで使用した。

 もとより、確信がなければ如何な非情相手にも使わなかっただろう。
 それも、これだけは別。

 己を欺き私怨に燃え、何千何万という人間を殺したその罪を。その愚かさを。
 大切だと思えるようになった少女を傷つけ続けようとする、その竜の逆鱗に触れた代償を、味わってもらおう。

「偽りはない。無言の時渡しも許さん。答えよ。
『ステイ零四を滅ぼしたのは汝(なれ)か』」

 何をふざけた事を言う。
 それはお前が、その少女を暴走させたせいだろうが。

「『是(はい)。この砲撃にて、滅ぼした次第に』」

 ? 何を、口からでまかせを。これは、魔術か。
 ある事ない事を吹かせる、なんて汚らしい。

「答えよ。
『如何にして滅ぼした。その経緯を、事細かに告げろ』」

 はっ。それは墓穴ではないか。
 砲撃は見たから言えよう、だが当時のお前たちは己を失っていたのだよ。
 予想も予測もつけられない、自ら墓穴に足を突っ込みおって。頭の使いどころというものは、

「『その二人を守るため暴走した黒竜王を発見。誰に聞かせ見させるわけでもなく、まずは見せしめと発砲した次第』」

 馬鹿な!
 混乱は思考を乱す。いつの間に口どころか、動きさえも意思から離れ見えないだろう瞳は虚ろ。
 その言葉を聴いたすべては呆然と。しかし明らかな怒りと悲しみがあった。
 やはり自分が巻き込んだのかと、そこまで大勢の人間を犠牲にしても目的を達成したかったのかと。