EXCAS

「ここまでくれば、安心ですね。隊長」

「そうだな。亮太、さあ、行ってくれ。お前の道は、こっちではないからな」

 銃撃は亮太には向かず、ずっと内に隠れた二人を狙う。目が痛くなるほどの光景をモニターから見て、そこに佇む彼に呼びかけた。
 言葉は届いているだろう、しかし動こうとしない。
 もう一度声をかける、なんて事はしない。きっとわかってくれたからと、そういう信頼があった。
 だから、亮太もその気持ちに気づいているから。答えて、転進を始めた。

「伝言、頼まれてくれるかな」

 ゆっくりすぎて、でも止まらない彼の背中に詩絵瑠は語りかけた。
 ただの独り言になるかもしれない、それでもいい。
 それでも、口にする事が出来るのなら。
 それでも、届く事が許されるのなら。

「ごめんなさいと。
 傷つけてしまって、ごめんなさい。
 幸せになってくれる事を、祈ります」

 それは、いつかの昔。
 ショウが詩絵瑠たちの祝福に手向けた言葉。

 ――そんな事は、自分の口で言えばいいのに。

 無表情の機体がわずかに振り返り、その顔は泣いていた。
 彼の心の内を、見えない素顔を代弁している。なんて悲しさ。