EXCAS

『いつの頃だったかな。知らないうちに彼が好きで、やっぱり知らないうちにランサーの事も好きになっていた。どっちも、放っておけない人だったから』

「ショウが、君を選んだなら。一緒に歩いていける道もあったのかな?」

『それは、無理じゃないかな。私たち、たぶん気持ちは同じでも、擦れ違いばかりだから』

「傷を付かない擦れ違いというのも、やっぱり辛いものなのかな?」

『そんな事はないよ。互いを思った擦れ違いだもの、痛くもなければ辛くもない。ただ、少しだけ淋しい』

 お互いを大事にして譲り合って、きっとそれは幸せになれる。
 けれど同じではない、交わっての幸せはそれではありえない。詩絵瑠とランサーが例のように。その時にはショウはあぶれた。
 彼が亡き後、あんな事しか提案できなかったショウに、それに乗ってでしか答えられなかった詩絵瑠に。
 二人で幸せ、という言葉は初めから存在しなかった。
 言葉が、少なくなっていった。
 何を言って求められず、時間しか過ぎないという合理的な思考を、亮太は恨めしく思う。殺意が芽生えるほどに。
 だからもう、言葉は要らなかった。
 コクピットが閉じ、機械越しにゼムが肩を叩いて。それが始まり。
 狙いの定まらない銃弾の雨の中を。肌を削られ回路がショートして、それでも進んでいく。最後まで抵抗できるだけの余力を残せるように、決して落とされて死なないように。
 後方からの援護は熾烈を極めた。
 消耗していると、たった一人の少年の手際とは思えないほど。
 的確にして壮絶、無効という境目に辿り着くまでに半数以上の敵を落として見せた。