「藤咲?」
「せっかく、君とはいいパートナーになれそうだったのに。私は、足手纏いみたいだ」
「お前、何をっ!?」
その顔が、その腹が、やけに赤く濁っていた。夥しいほどではないにしろ、明らかな致命。
わかるだろう、それは先ほどの攻撃が原因なのだと。彼の不注意が招いた、どうしようもない現実なのだと。
やれやれ、と笑いながら詩絵瑠はコクピットをあけた。
漏れた血液が球体となって舞い、それが悲しみに暮れる彼を正気に戻した。
『では、行くか。こんな汚れた席で悪いが』
『そんな事を言っては、私も汚してしまったようなものです。気にしないでください』
「そんな、ふざけた話はやめてくれ!」
内に飛び込もうとする機体を押さえつけた。それしかないとわかっているのに、どうしても納得できず取り乱す。
怒る余裕がないのか、それとも穏やかに事を進めたいのか。ゼムはただ優しげに笑って、機体を止めた。しかしその表情から、決して諦めたわけではない。ただ、話を聞かせようというだけ。
藤咲、と。隊長の前に彼女を出した。
戻るつもりはなく、ただ話すのに丁度いい位置に。
「どうしてこんな事をする、どうして死に急ぐんだ! 生きなくていいのか、ショウを恨んで生きるんだろ! ランサーの仇を、討つんだろう」
『ごめんね。その必要、もう、なくなっちゃったみたいだから』
「っ? そんな事はないだろう、ショウは生きてる。仇は生きているんだ」
ひどい事を言っていると思っただろう。友達をだしに、彼からすべてを聞いたというのに。
大切な友達に命を狙われてまで、生きてもらいたい。
その願いを聞いて味方でいようと思いながら、わざわざ責めさせるような事を口にする。だが、今はこれでいいのではないか。
彼の願いは詩絵瑠に生きてもらう事。それならば、今死に向かおうとする彼女を止めるため、利用しなければならないのではと。
「せっかく、君とはいいパートナーになれそうだったのに。私は、足手纏いみたいだ」
「お前、何をっ!?」
その顔が、その腹が、やけに赤く濁っていた。夥しいほどではないにしろ、明らかな致命。
わかるだろう、それは先ほどの攻撃が原因なのだと。彼の不注意が招いた、どうしようもない現実なのだと。
やれやれ、と笑いながら詩絵瑠はコクピットをあけた。
漏れた血液が球体となって舞い、それが悲しみに暮れる彼を正気に戻した。
『では、行くか。こんな汚れた席で悪いが』
『そんな事を言っては、私も汚してしまったようなものです。気にしないでください』
「そんな、ふざけた話はやめてくれ!」
内に飛び込もうとする機体を押さえつけた。それしかないとわかっているのに、どうしても納得できず取り乱す。
怒る余裕がないのか、それとも穏やかに事を進めたいのか。ゼムはただ優しげに笑って、機体を止めた。しかしその表情から、決して諦めたわけではない。ただ、話を聞かせようというだけ。
藤咲、と。隊長の前に彼女を出した。
戻るつもりはなく、ただ話すのに丁度いい位置に。
「どうしてこんな事をする、どうして死に急ぐんだ! 生きなくていいのか、ショウを恨んで生きるんだろ! ランサーの仇を、討つんだろう」
『ごめんね。その必要、もう、なくなっちゃったみたいだから』
「っ? そんな事はないだろう、ショウは生きてる。仇は生きているんだ」
ひどい事を言っていると思っただろう。友達をだしに、彼からすべてを聞いたというのに。
大切な友達に命を狙われてまで、生きてもらいたい。
その願いを聞いて味方でいようと思いながら、わざわざ責めさせるような事を口にする。だが、今はこれでいいのではないか。
彼の願いは詩絵瑠に生きてもらう事。それならば、今死に向かおうとする彼女を止めるため、利用しなければならないのではと。



