EXCAS

「さあ。どうしてだろう」

 そんな謎かけをした。
 自分自身でさえ、どうしてこうなったかわからないのだと。

「自分でも教えてもらいたいものだ。どうしてこんなところにいるのか、どうしてここに辿り着いたのか。それが不思議で仕方がない」

『流されるままに生きて、ここまで来たと。それはなんともお粗末な』

「そんな事はないッ」

 また、瞳に色が宿った。
 二色の色をした炎。
 荒ぶる気持ちを謳った瞳。

「この戦争に巻き込まれてから、ただの一回も、自分の意思を貫き通さなかった事はないっ」

 傷はまだ塞がりきっていない。それでもじっとしてはいられないと、剣を振るってそれを弾いた。
 驚きはない。牙を剥かれるという事は、予測ではなく確信だった。
 ならば対処もしやすい、手負いであるがためにあしらう事さえ可能だった。だと言うのに、彼は全力で応戦した。振り下ろされる刃を薙ぎ、隙が生じれば容赦なく殴り飛ばし、距離をとれば頭部バルカンが火を噴いた。

『では何故此処にいる!? 自らの意思で戦いに赴いたと言うのなら、どうして戦場にいる!』

 魔術防壁が追いつかない、紙一重で避け続けているにしろ体躯が違いすぎる。崩壊のときは刻一刻と近づき、決して遠くないと誰もが理解する。
 それなのに、色は一層強く燃え上がっていた。
 揺らぎの見えない、如何なる強風にも水流にも耐え抜くだろう。
 本人も気づいている、自らの瞳に意思が宿っている事を。己が心を代弁してくれているこれを、決して消すわけにはいかないと。いくら傷を負おうとかまわない、その身が砕け散ろうが治してみせる、決して折れてはいけないもののためならば。

『問うぞ! 何故、お前は戦場(此処)にいる!?』