EXCAS

 自動ドア特有の開閉音、足を踏み入れると、そこは夜のように暗い部屋だった。

 明かり一つ点けない、新月の夜よりも深い闇で入る事に躊躇った。


「――だれ?」


 その声に、躊躇いは失せた。
 枯れ木よりも細く弱々しい、聞きなれた少女の声。何て冷たくて悲しい。
 内心の動揺を隠し、見えないだろうが努めてポーカーフェイスを作り、声をかけた。
 闇の中、それに反応し動く物体を見つけた。
 膝を抱えているのだろうか、やけに丸く埋もれている彼女がいた。