EXCAS

 レナは、ただ呆然としていた。


 ――割れた世界で、呆然としていた。



 散っていく破片を、ただどうしようもなく、その掌に収めながら。



 ――彼を象っていた物体が、一つ一つ彼女の手に収まる、その光景を。



 ふいに、悪魔が嗤った。
 触指、触手、触腕のすべてを振り上げて。
 高らかに、魔術を会得した存在にのみ伝わる声で。

 ――駒が死んで、悲しいのか?

 色のない世界に、
 青い空の世界に、
    撃鉄が落ちた。

 銃口は互いの世界に向けられて、弾丸はたった一つ。
 紅い怒りの弾丸。
 蒼い怒りの弾丸。
 それぞれ、鏡写しに互いを狙う。
 射手の視線が世界を超えて交わった。

 そこにいると、名前を呼ばず姿も見えず、ただ理解した。