EXCAS

 自分は、とても馬鹿だと思う。それは誰かにも言われて、もちろん自覚している。
 でも、ここまでだとは、思わなかった。
 彼女を狙っていると、すぐには気付かなかった。何かが光って、危ないと思って、その線上にあいつがいた。
 だから、身体が勝手に動いてしまった。


 黒い世界を叩き割る。
 鈍器も刃物も必要なく、血に塗れるほど殴り続けた。


 罅割れていく視界の先で、確かな現実を直視する。

『…………よ。大丈夫、だったか?』

 なんともない、いつも通りな声。
 たまたま会えたような、ただ挨拶するような声。

『……ラン、サー、さん……?』

 掠れた声が回線を通じて聞こえる。
 傷付いたからではなく、まるでとても信じられないものを見たような。